セールスプロセス管理(アメリカ系)と商談管理(日本系)の違い

まず最初にVtigerCRMの商談モジュールのフィールドである[セールスステージ]の中身を見てましょう([セールスステージ]とは商談の進捗状況のことです)。

NO.Vtigerの営業ステージ(標準)日本訳
1Prospecting見込対象
2Qualification営業対象
3Needs Analysisニーズ調査
4Value Proposition価値提案
5Identify Decision Makers意思決定者の特定
6Perception Analysis認識分析
7Proposal or Price Quote提案または見積
8Negotiation or Review交渉・見直し
9Closed Won受注
10Closed Lost失注

元々はアメリカで生まれたシステムのため商談の進捗管理に関する考え方もアメリカ流が反映されています。個々の事象は理解できるのですが、商談管理をこのステージの流れで管理するというのは日本企業では今一ピンとこない感じがします。

ここが、アメリカ的なセールスプロセス管理と日本型の商談管理の差だと考えています。

少し脱線します。もうずいぶん昔の話になりますが外資系のIT企業で営業を長年やっておられた方の下で働いたことがあります。その方の営業手法が正にアメリカ流の営業プロセス管理、商談管理でした。商談全体を見て、商談の開始から受注・失注までを何段階かのステージに分類し、そのステージ毎に営業が実行しないといけないタスク・TODOを細かく設定していました。

営業マンはこのセールスプロセス管理手法に乗っ取って必要なタスクを粛々とこなしていくだけです。そこには勘と経験と度胸が入り込む余地はわずかです。営業担当がやるべきことがきっちりと規定されているため、経験の浅い営業担当も何をやったらいいか迷う必要がありません。また、サポートするマネージャー目線でも、どこで躓いているのか、どこで停滞しているのか、何が不足しているのかが明確になるため、指示も非常に出しやすくなります。

日本型の営業手法(商談管理)は、KKD(勘と経験と度胸)という言葉に代表されるような科学的というよりは情緒でなんとかするといった手法が中心だったと言われています。

例えば、日本の営業組織は商談をセールスステージではなく[確度]で管理しているケースが多いように思います。営業会議では、確度Aが何件XXX円、確度Bが何件XXX円といった報告がされています。ただこの確度の設定にはかなり担当者の恣意的な要素が入ってきます。

こんなケースはありませんか?

『このお客様は毎年発注をいただいるので提案書はまだ出していないが今年もほぼ受注できるはずだ。営業会議では確度Aと報告した』

『ところがお客様は今年はコンペを実施する予定だったことが後でわかり、何とか受注できたものの競合対策で大幅な値引きが必要になってしまい、売上、利益共に当初見込みを大きく下回る結果となってしまいました』

このケースも商談をプロセスで管理し、プロセス毎にやるべきことをしっかりやっていたらこのような事態にはなっていなかったはずです。俗にいう[できる営業マン]とはこのプロセス管理を確実に行っているので結果を出せるのだと考えます。

このようにアメリカ系のセールスプロセスの考え方と従来の日本型の商談管理には差があります。但し合理的で成果も出そうだとアメリカ流を無理やり取り入れても失敗することの方が多いとも思っています。1990年代以降のCRM、SFAシステムの導入プロジェクトは80%が失敗したと言われていますがその辺も原因の一つだったのではと考えています。

そこはやはり自社の企業風土を考慮しつつ、いいところを取り入れて、一足飛びに改革するのではなく日々少しづつ段階を踏みながら改善を続けていくのが確実に成果を出すことができるアプローチだと考えています。

あるべきセールスプロセス管理、商談管理のためにOpenCRMが出来ること

OpenCRMの最大の特徴と言えるのがシステムの柔軟性です。ユーザは管理画面から設定作業を行うだけで、項目の追加、定義値の変更、画面表示方法の変更など様々なことができます。

その柔軟な設定変更機能を活用することで、現在自社で実施しているセールスプロセスをシステムへマッピングすることも可能です。更にはビジネス環境の変化に応じたプロセスの変更も容易に対応できます。

従来ならシステムをカスタマイズして(当然費用が発生し、期間も必要)対応していたものがユーザ自身で設定だけでどんどん改善ができるシステムとなっています。

ぜひ、その柔軟性を体験いただき、システムに関するコストやスピードの問題を解消していただきたいと思っています。

以上