前回の記事では人事情報管理システムの根幹である社員情報モジュールを作成しました。今回は[社員情報]モジュールに関連づくアプリとして[人事評価情報]モジュールを作成したいと思います。

[人事評価情報]モジュールを作る

今回のケースは以下を想定します。

  • 人事評価を上期・下期で実施
  • 本人が目標を設定し上司と確認した上で決定
  • 目標は2項目、S,A,B,Cの四段階評価

検討フェーズ

①まずは前回同様に必要なフィールド(項目)の検討からスタートです。今回は以下の内容で作成することにします。

項目データ属性備考
社員情報関連項目モジュール間連携設定時に自動作成
年度定義リスト2020年度、2021年度~
定義リスト上期・下期
ステータス定義リスト本人作成中から確定までのステータスを管理
本人目標①テキストエリア
本人評価①定義リストS,A,B,C
本人コメント①テキストエリア
上司評価①定義リストS,A,B,C
上司評価コメント①テキストエリア
①の繰り返しで②を作成

②モジュール間の関連を検討します。

[人事評価情報]モジュールは、[社員情報]1に対して複数作成されることになるので、以下の関係になります。

[社員情報]:[人事評価情報]= [1]:[M]

こちらの内容で後ほどモジュール間の関連設定を行います。

作成フェーズ

①詳細は前回の記事を参考にしていただくとして、流れだけ再度整理しておきます。

  1. モジュールビルダーでベースモジュールを作成
  2. ラベルエディターで日本語化

evaluation(評価)という名前でモジュールを作成しました。日本語化作業も手順どおりに実施します。

②モジュール間の関連を設定します。

前回記事の[社員情報]は親モジュールになるため設定がありませんでしたが、今回の[人事評価情報]は子モジュールになり、[社員情報]と紐づくため設定が必要となります。では早速設定方法を確認していきましょう。

モジュールビルダーの画面を開きます。

今回は、検討フェーズで検討した通り[1:M]の関連付けを行うので図の赤枠[1:M Relationship]の設定を行います。

設定箇所は実質4箇所だけです。以下に詳述します。

  1. Primary Module:親モジュールを選択します。今回は[社員情報]モジュールを選択します。
  2. Child Module/Related List:子モジュールを選択します。今回は[人事評価情報]モジュールを選択します。
  3. New Field Label:子モジュールである[人事評価情報]モジュールに[社員情報]のフィールドが自動追加されます。その時のフィールド名になります。親モジュールを選択した段階で自動的に表示されます。必要に応じて修正します。
  4. Block:子モジュールのどのブロックに上記のフィールドを作成するかを選択します。
  5. Child Module/Related List Label:子モジュールのラベル名になります。子モジュールを選択時に自動的に表示されます。必要に応じて修正します。
  6. “Add” + “Add Record” in the related list?:[社員情報]モジュールの関連タブで新規データを追加するための追加ボタンに関する設定です。今回はチェックを入れます。

設定終了後、[社員情報]モジュールを表示して確認してみましょう。

[社員情報]モジュールの関連タブに[人事評価情報]が追加されています。

[人事評価情報]タブをクリックするとデータを追加するためのボタンがあるのが確認できました。

以上でモジュール間の関連設定は終了です。

③レイアウト&フィールドエディタでフィールドの追加・並びなどを設定します。

設定方法の詳細は前回記事をご確認ください。検討フェーズで検討したフィールドを作成します。フィールドを配置するブロック情報を設定すると以下のような構成になります。

項目データ属性ブロック
社員情報関連項目[人事評価情報]
年度定義リスト[人事評価情報]
定義リスト[人事評価情報]
ステータス定義リスト[人事評価情報]
本人目標①テキストエリア目標(1)
本人評価①定義リスト目標(1)
本人コメント①テキストエリア目標(1)
上司評価①定義リスト目標(1)
上司評価コメント①テキストエリア目標(1)
①の繰り返しで②を作成目標(2)

以上が基本的なフィールドになりますが、人事評価システムらしくするためにいくつかのフィールドを追加し機能を強化してみました。追加した機能の一覧は以下になります。

番号内容説明
1評価比重フィールドの追加・2つの目標設定に対して難易度を足して100%になるように重み付けするための項目です。
・上司評価のランクによって、目標別に評価計数を自動計算します。
2評価計数フィールドの追加・上記の1で計算される目標①と②を合計したものをボーナス時の加算計数とし自動計算で格納します。
3
上司評価_通期フィールドの追加・評価期間を下期に設定した時に[通期]ブロックが表示され通期の上司評価が設定できます。

これらの自動計算項目はエクステンション機能を使って設定だけで実現しています。こちらのエクステンションの使用方法に関してはまたの機会に詳述したいと思います。

これで基本的な機能が完成しました。

[人事評価情報モジュールの詳細画面]クリックして拡大

これで基本的な画面周りの機能が完成しました。

前回と同様にここまで全て設定だけで作成されています。機能要件を考える時間を除けば2時間程度で作成できました。

まとめ

前回、今回と2回にわたってOpenCRMの開発ツールとしての側面をご紹介させていただきました。記事でご確認いただいたように一切のプログラムを作成することなく設定だけでアプリを作成することができました。

素早くコストをかけることなくアプリの開発や改修を自分達で行うことでビジネス環境の変化にスピーディーに対応できる力を得ることができます。

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