OpenCRMにはノーコード(ノープログラム)でアプリ(モジュール)が開発できる様々な機能が備わっています。今回、参考事例の一つとして社員情報管理システムを作ってみようと思います。また社員情報だけでなく社員情報と関連して利用するアプリも合わせて作成していきたいと思います。

機能要件の整理

今回は社員の基本情報を管理するマスタを作成し、半期毎の人事評価情報を格納できるようにします。人事評価情報に関しては目標の入力と自己評価と上長の査定結果が入力できるようにします。作成にあたっては時間の都合もあるため作成する項目数を割愛する場面もあります。その場合は割愛と記述させていただきます。

社員情報

社員の基本情報を格納するマスタになります。このマスタ情報に様々な関連アプリが連携して社員情報管理システムを構成していきます。

人事評価情報

社員情報の関連情報になります。上期、下期の査定情報を管理できるようにします。

アプリの作成手順

アプリ(OpenCRMでは[モジュール]と言います)の作成に関しては以下の手順で進めます。

検討フェーズ

  ①必要な項目(フィールド)を検討する。

  ②モジュール間の関連を検討する。

作成フェーズ

  ①モジュールビルダーでベースモジュールを作成する。

  ②モジュールビルダーでモジュールの関連を設定する。

  ③レイアウト&フィールドエディタでフィールドの追加・並びなどを設定する。 

[社員情報]を作成する

では早速、社員情報管理システムのマスタとなる[社員情報]というモジュールを作成してみましょう。

検討フェーズ

①社員情報のマスタ情報として必要なデータ項目(フィールド)を検討します。

項目名データの属性備考
テキスト
テキスト
入社日日付
所属部署定義リスト
役職定義リスト
学歴テキストエリア
職歴テキストエリア
配偶者(名)テキスト性別、年齢などは割愛します。
子(名)テキスト性別、年齢などは割愛します。
自宅住所テキスト郵便番号、電話番号などは割愛します。
以下省略※今回は以上の項目に絞って作成します。
今回は作成サンプルのため最低限の情報にしています。

②モジュール間の関連を検討します。

今回の仕様では、社員情報に半期単位の人事評価情報を関連付けて管理する予定です。

社員情報と人事評価情報は、社員情報1に対して、人事評価情報は年二回☓所属年数となるので複数のデータになります。OpenCRMではこの関係を[1:M]と言います。この関連付けに関しては、人事評価情報モジュール作成時に設定することになります。

作成フェーズ

(1)モジュールビルダーでベースモジュールを作成します。

①エクステンションのメニューからモジュールビルダーをクリックします。

赤点線の[Custom Module]をクリック
[モジュールビルダーの設定画面]

モジュールビルダーの設定画面では3箇所設定するだけです。図の設定画面の3箇所の赤点線囲み部分が該当箇所です。

  1. モジュールラベル:モジュールの名前になります。ここは英字で設定します。今回は、社員の情報なので[employee]と入力します。
  2. モジュールアイコン:メニューやタブなどに表示されるモジュールのアイコンを選択します。一覧の中からできるだけモジュールをイメージしやすいアイコンを選択しましょう。
  3. Menu Placement:VtigerCRMの標準メニューはカテゴリ毎にモジュールを表示します。作成したモジュールはどこかのカテゴリに所属させる必要があります(マーケティング、セールス、サポート、インベントリ、プロジェクト、ツールの6カテゴリがあります)。
[設定内容]

上記3箇所の設定が終わったら[保存]ボタンを押します。

これでベースモジュールの完成です。この段階ではデータの名称、作成者、担当者、作成日時など最低限の必須フィールドで構成されたモジュールができます。

※この段階で弊社に一報ください。サーバ側で作業を実施いたします(すぐに終わる作業です)。

英語で作成したモジュール名称を日本語に修正します。管理ツールのエクステンションのメニューから[ラベルエディター]をクリックしてください。

Action列のEditボタンを押して、Current Valueの部分を日本語化します。

これで、モジュール名称が日本語化されます。

②モジュールビルダーでモジュール間の関連付けを設定します。

※今回は関連モジュールに該当する[人事評価情報]モジュールを作成した後、関連付けを実施します。

③レイアウト&フィールドエディタでフィールドの追加・並びなどを設定します。

検討フェーズで検討したフィールドを追加します。また、データが見やすいようにブロック(フィールドの塊)も作成しレイアウトを調整します。以下のようなブロック構成のレイアウト設定行います。

  • 社員情報ブロック
  • 学歴・職歴情報ブロック
  • 家族情報ブロック
  • システム情報ブロック

管理メニューからレイアウト&フィールドエディタをクリックし、社員情報モジュールを選択します。

まず、システム情報というブロックを作成し、データ作成時に自動生成されるシステム情報を整理します。

ブロックの追加ボタンを押します
ブロック名を入力し保存します
システム情報というブロックが追加されました

社員情報のブロックに該当するフィールドをドラッグ&ドロップで、システム情報に移動させます。

右上の[レイアウト保存]ボタンでレイアウト構成が保存されます。

次に社員情報のブロックに検討フェーズで検討したフィールドを追加していきましょう。

右上の[カスタム項目の追加]ボタンを押します

[姓]の情報を格納するフィールドを作成します。

  • 項目タイプの選択:値の属性を選択します。テキスト、整数、日付、金額など
  • ラベル名:表示名称
  • 長さ:桁数
  • デフォルト値:初期値
  • 必須項目:チェックを入れると入力必須となります。
  • クィック作成:クィック作成機能使用時の入力項目となります。
  • キー項目:概要表示のキー項目欄に表示されます。
  • ヘッダービュー:ヘッダーエリアに表示されます。
  • 一括編集:一括編集機能で編集できるフィールドになります。
[姓]フィールドの設定内容

同様に以下のフィールドを追加していきます。

項目名データの属性ブロック
テキスト社員情報
テキスト社員情報
入社日日付社員情報
所属部署定義リスト社員情報
役職定義リスト社員情報
学歴テキストエリア学歴・職歴情報
職歴テキストエリア学歴・職歴情報
配偶者(名)テキスト家族情報
子(名)テキスト家族情報
自宅住所テキスト家族情報

データ属性の内、定義リストは少し特殊なので[役職]フィールドを作成してみましょう。

項目のタイプは[Picklist]を選択します。選択肢に社長以下役職名を入力します。定義リストに関しては管理ツールの定義リスト設定機能で追加、修正、削除できます。

すべてのフィールドとブロックを追加作成しレイアウトの配置を調整した結果、以下の[社員情報]モジュールが完成しました。

概要表示画面
詳細表示画面

以上のようにプログラムを作成することなく設定とドラッグ&ドロップだけで[社員情報]が管理できるアプリケーションが作成できました。フィールドの数にもよりますが、検討する時間を除いた作成時間は1時間もかかりません。

次回は、[OpenCRMで社員情報管理システムを作成!Part2:人事評価情報モジュールを作成]です。社員情報に関連づくモジュールを作成することで更に社員情報管理システムらしくなってきます。ご期待ください。