人事管理システムと一口に言ってもその領域はかなり広く、現在サービス提供されている人事管理システムも統合的に管理できるものから各機能要件別のものまで多岐にわたるようです。

今回は以前の記事で作成した人事情報管理機能にいくつかのカスタムモジュールを追加して現在人事管理システムにおいて必要とされる機能のいくつかを実装してみました。

人事管理システムの全体像

人事管理システムの機能要件を整理すると一般的には以下のような分類になるようです。

  • 人事評価
  • 採用管理
  • 人材配置
  • 人材開発
  • モチベーション管理

今回は、OpenCRM標準の機能と、開発支援機能を利用して作成したカスタムモジュールで上記の5分類の機能の実装を目指します。

人事評価

まずは人事評価機能です。

人事情報のマスターとなる、【従業員】に関する情報を格納するモジュールが必要になります。さらに、半期や年度単位で実施する【人事評価】に関する情報を格納するモジュールも必要になります。

こちらの二つのモジュールの詳細については以前の記事(従業員モジュール人事評価モジュール)をご確認ください。

前回作成した【人事評価】モジュールは、目標管理制度を人事評価に採用している企業をイメージして作成しています。その結果、以下のような機能があります。

  • 上期、下期単位で、従業員が目標をたて、期末にその達成度を上長と確認しながら評価査定を行います。
  • 確定した評価に基づいてボーナス時の加算係数を計算します。

人事評価制度は各社異なると思います。自社にあった形になるように設定を行うことになります。

従業員モジュール
人事評価モジュール

採用管理

採用管理は採用活動全般を管理する機能になります。

採用活動者の情報、採用活動の状況、募集媒体別の実績管理、新卒採用などのプロジェクト案件の管理になります。

分類実装内容
採用候補者の情報【従業員】モジュールにステータスを設けることで従業員情報と合わせて管理します。
ステータスを変更することで採用活動時に入手された情報をそのまま活用します。
候補者にオンラインでプロフィール情報を入力してもらいます。
採用活動の状況採用活動の状況は【従業員】モジュールに採用活動ステータスを設けることで状況管理(採用活動フローの管理)を行います。
面談日程や提出物の取得タスクなどは【スケジュール&カレンダー機能】で管理します。
募集媒体別の実績管理【キャンペーン】モジュールを使って募集媒体別の採用者の状況、コストなどの管理を行います。
新卒採用プロジェクト管理新卒の採用は人事の複数メンバーが長い期間わたって実施する業務になるので、【プロジェクト】モジュールを使って円滑に進めることができます。
従業員モジュールの採用状況情報のイメージ

人材配置

人材配置に関しては、どうやらシュミレーション機能(人材配置によって、どのように収益が変化するかなど)がポイントのようですが、さすがにOpenCRMの設定機能だけでは実装できません。

人材配置のための必要な情報、従業員のプロフィール情報(能力や経験)は、【従業員】モジュールに必要なカスタム項目を追加することで対応できます。

人材開発

人材開発は、以下の三つのポイントが必要になります。

①スキル管理

スキルに関する情報(例えば、社内検定や資格、社外の検定や資格情報)は従業員モジュールのカスタム項目を追加することで対応できます。

②教育管理

社内・社外の講習・研修への参加状況を管理するために【研修・講習】モジュールをカスタムモジュールとして作成します。

機能内容
参加履歴研修・講習の受講履歴を管理します。
受講予定受講の申し込みを行えるようにします。
申し込みデータを人事担当者が確認し調整などを行います。
社外講習の場合は部署別の経費などを集計することで教育費用の予算管理を行います。
受講報告研修・講習情報の報告書欄に記載することで受講報告にします。
ワークフローで上長への完了報告を自動化します。

③キャリア管理

人材育成制度が整っている企業の場合、キャリアを体系化していると思います。その体系化したキャリアを従業員モジュールのカスタム項目として追加することで、従業員のキャリアの到達度管理を行います。

モチベーション管理

モチベーション管理としては、アンケートデータを収集・管理することで実現します。【従業員アンケート】モジュールをカスタムモジュールとして作成し、アンケート情報を従業員単位で管理します。

従業員のプロフィール情報とアンケート情報を使ってデータの集計・分析を行い、問題点・課題の抽出、対応を行うことで従業員のモチベーションを維持し高める施策を打てるようになります。

①従業員満足度調査

定期的に従業員満足度を調査するために従業員にアンケートを実施します。

②ストレスチェック

定期的にストレス状況をチェックするために従業員にアンケートを実施します。

なお、アンケートはオンラインフォームとして入力することができます。

まとめ

有料の専門ソフトに比べるとかなりライト感覚な仕組みとなりますが、追加コストをかけずに人事管理システムを構築することができます。今現在、人事管理システムは導入していない、又は、今後も導入予定のない企業様も、CRMの導入のついでに構築できますのでぜひお試しいただきたいと思います。

なお今回ご紹介した実装例は簡易的なものになります。必要な機能を洗い出し、OpenCRMの開発支援機能で実装できるものであればもっと高機能なものを構築できます。

最後に、今回のようなカスタムモジュールの構築はOpenCRMの通常のサポートの中でサポートさせていただきますので気軽にご相談ください。